がん患者さんには朝の日光浴がいいということです。
もちろん、がんを含め様々な病気の予防においても、大いに役立つお話です。




がん患者さんは朝の日光浴を
―統合腫瘍学会(SIO)より―

10月26日から、米国ヒューストンでSIO(統合腫瘍学会)に出てきました。
興味深い演題がたくさんありましたが、すぐに役に立ちそうな、カリフォルニア大サンディエゴ校の教授のお話をご紹介します。


■がん患者の疲労感、睡眠障害、うつ

がんの患者さんは疲労を訴えます。がんの診断を受ける前に既に疲労感があり、がん治療を受けると、さらに疲労感は深まります。
しかし通常の疲労とは異なり、休んでもあまり回復しません。
また、がんの患者さんには睡眠障害があり、うつ気分を訴える人が多いです。
これらも疲労感と同様、がんという診断を受け治療を受けたから(心身へのショックで)症状が出るのではなく、どうもがんという病気そのものが疲労をもたらし、睡眠を妨げ、気分を落ち込ませているようです。

■がん患者の体内時計と炎症マーカー

生物には、1日の周期にあわせてさまざまな生理機能がリズムを刻む、体内時計(概日リズム)があります。
例えば、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が高まり、朝になると低くなる、という1日周期の波がそうです。
がんの患者さんでは、その体内時計の働きがぼやけ、波のメリハリがなくなります。
波の山は低く、谷は浅く、リズムもおぼつかなくなります。
波がぼやけているがん患者さんほど、疲労感が深く、睡眠が妨げられ、気持ちはうつになります。同時に体内では炎症が亢進し、炎症マーカーは上昇していることがわかりました。

■明るい光に治療効果

光を浴びると刺激が目から脳に届き、体内時計がはっきりとリズムを刻み始め、波がくっきりしてきます。「時差ボケには日光浴」と言われるのはそのためです。
最近の研究で、明るい光はがん患者さんの体内時計のリズムを改善するばかりでなく、疲労感、睡眠障害、うつ症状を改善することがわかりました(高照度光療法といいます)。
また、抗がん剤治療を受けると頭が曇ったようになり、記憶力・集中力・判断力が衰える場合があります(ケモブレイン)。
毎朝明るい光を浴びると、この副作用も軽減します。

■日光のパワーは想像以上

ビタミンDが足りないと、がん・心臓動脈疾患・糖尿病・認知症などさまざまな疾患のリスクが高まり、死亡リスクが高まります。
日光を浴びると、皮膚でこの大切なビタミンDの合成が促進されます。また日光を浴びると、時差ボケ・睡眠障害・季節性のうつなどを改善するのも前述のとおりです。
ですが日光の働きはそれだけではないのです。日光のある波長は体の深部まで届き、炎症を緩和し、創傷の回復を促進し、骨代謝に関わり、ミトコンドリアを元気にもしているようです。
しかも日光は、まだメカニズムは十分解明されていませんが、がん患者さん特有の疲労感、睡眠障害、うつ、ケモブレインにも良いようです。

■毎朝30分の日光浴散歩を!

これらのもとになった臨床研究では、多くが明るいLED照明を用いましたが、毎朝30分の日光浴で同等の効果があるそうです。がんの患者さんは散歩を日課にしている人も多いと思いますが、朝に十分日光を浴びながら散歩すれば、一石二鳥です。
.毎朝30分、日光を浴びながら散歩をしましょう。
なお、サングラスをしてはいけません。太陽を直接見てもいけません。
普通に屋外の朝の光の中にいることが大事です。

安西先生文責;安西 英雄