がん健診(ドック)について


意義は「治癒可能な、がんをみつけること」につきると思います。

健診を受けないよりは受けたほうが得であることはe-クリニックのデータベースが雄弁に物語っています。

重要なのはどんな姿勢で健診に臨むかだと思います。
日頃不摂生をしているけれども健診(ドック)を受けているから大丈夫という考えは非常に危険です。
仮に理想の健診を受けることができたとしても、ただただ漫然と健診を受けているだけであれば全体の約65~70%程度しか発見できないと言われています。
発見率を高めるには自分のリスクを自覚しながら積極的な姿勢で健診に臨むほうが得策だと思います。

事実、がん健診によって、早期にがんが発見されて、治癒できている人が多数います。

いっぽう、「がん健診はまったく無効だ」と極端なことを言う人もいますが、その考えは間違いです。確かに稀に、進行が極めて早くて早期発見がほとんど不可能ながんもありますが、多くは早期に発見することのできるがんなのです。

また、健診(ドック)は同じ施設で継続して受けたほうがいいと思います。その理由は、同じ施設で継続して受診していれば経過を追うことができますし、微妙な変化を捉えることも可能になるからです。特に小さな変化は以前の検査結果と見比べることで分かる場合が多いからです。


 ポイント

 健診・ドックは決して万能ではない!
・・・過信してはいけない

 自分のリスクを知って受ける
・・・日頃、リスク低減に努めながら、それでも残る自分のリスクに的をしぼって

 できれば同じ施設で継続して受ける
     ・・・・変化が重要


 部位別のポイント


 肺がん

胸 部X線撮影(いわゆるふつうのレントゲン撮影)や通常のCT検査には有効性は証明されていません。したがってレントゲンで異常がなかったから大丈夫という ことは言えないわけで、欧米などでは10年以上も前から、肺がん健診そのものの有効性が否定され、健診が廃止されました。世界的な趨勢は現行の健診方法に 関しては否定的です。

ただし、最近は少し事情が変わりつつあります。それはヘリカルCT(高速らせん型CT)検査で早期の肺がんが多く発見され、治癒につながっているという事実です。検証はこれからでしょうが、ヘリカルCTは肺がん健診の有効なツールになりうると思います。

したがって、現在考えられている最も有効な予防手段は禁煙(受動喫煙も避ける)で、健診手段としては(集団健診は難しいかもしれないが)ヘリカルCTだと思われます。

・ 禁煙
・ 1年に1度、ヘリカルCT検査


胃がん
(食道がん)

現行のバリウムを用いた上部消化管造影は、今や時代遅れになりつつあると言ってもいいかと思います。むしろ撮影時の苦痛や大量の被爆線量を考えると健康を害すると言ったほうが適切かもしれません。 

したがって最初から上部消化管内視鏡(ファイバースコープ:いわゆる胃カメラ)検査を受ける方が得策だと思われます。また最近は軽麻酔下で行うことも、あるいは経鼻的に行うことも可能で、ほとんど苦痛なくスムーズ
に検査が受けられるようになってきているので、検査が苦しいということはありません。

さらに、直接観察することにより、あやしい部分があればすこし組織を採取して細胞検査にまわすこともできますし、明らかに初期のがんだとわかればその場で処置をすることもできます。またピロリ菌の発見も可能ですので、年に1度は受けることが望まれます。

・ ピロリ菌感染陽性→0・5~1年に1回 胃カメラ検査
・ ピロリ菌陰性→1~2年に1回 胃カメラ


大腸がん

最近、肺がんとともに急増しています。年間約3万人が亡くなっています。肉、脂肪の多い食事、センイの少ない食事、便秘が大腸がんの大きな原因だと言われています。

ただ大腸がんのせめてもの救いは、胃がん、肺がんと違い、転移していても、比較的に治りやすいことで、健診を受ける価値は非常に高いと言えます。

また最近の知見によると、葉酸を含むマルチビタミン、ビタミンCの摂取が大腸がんの予防に効果があることも明らかになってきています。

・ 1年に1回は便潜血検査を受ける
※ただし精度が高くないので過信は禁物
・ 3~4年に1度は大腸カメラ検査


乳がん

乳がんは早期から、自分でわかる唯一のがんです。主なサインはしこりが触れることですので、しこりが触れればまずがんと考えて、外科(婦人科ではない!)を受診することが大切です。

・ 1ヶ月に1回、自分で触診する(習慣をつける)
・ 1年に1回、マンモグラフィー検査(乳腺のレントゲン撮影)を受ける


子宮がん

体部がんの有効性はほとんど認められていませんが、頚部がんに関しては、細胞診の有効性が認められています。

体部には超音波検査(エコー)が有効ですので特にリスクのある方(妊娠・出産を経験していない方、肥満、高血圧、糖尿病のある方)はぜひ受けてください。

・1年に1回は細胞診、超音波検査を受ける


肝臓がん

原因が比較的はっきりしているがんで、肝細胞がんのほとんどがB型あるいはC型肝炎ウイルスによってひきおこされます。

ただしこのウイルスを持っていない人が肝臓がんにならないということはありませんので超音波検査は受けたいものです。

また、注意を喚起しておかなくてはいけないことは、日本人の40人に1人がB型かC型いずれかのウイルスに感染していますので、不用意な性交渉は命取りになる危険性があるということです。日本では3番目に多いがんです。

・ 超音波検査/日    ?
 ウイルス(B型・C型)を持っていれば
・ 6ヶ月に1度は超音波(エコー)検査
・ 6ヶ月に1度は2種類の腫瘍マーカーAFP・PIVKA(ピブカ)を定期的にチェック


胆道がん

日本人では10番目に多いがんで、毎年1万人以上が亡くなっています。後述の膵臓がんとならんで最も発見しにくいがんの1つです。

・ 1年に1回は詳細に胆道の超音波(エコー)検査をする
・ 疑わしい場合はCT、MRI
・ ビリルビン、ALPの測定
※精度はあまり高くない


膵臓がん

200種類以上もあるがんの中で、膵臓がんは日本人に5番目に多いがんです。特に近年急増しているのですが、この膵臓がんは進行が非常に早くあっという間に、肝臓や肺に転移し、がんの中で最大の強敵と言われる所以です。

90%の人が、手術が不可能なほど進行した段階で発見され、1年以内にほとんどが亡くなります。年間じつに15000人がこの膵臓がんで命を落としているのです。

なぜ膵臓がんになるのかはいろいろな説がありはっきりとしたことはわかりませんがが、喫煙者に多く、そして糖尿病患者に多いことは事実です。

・ 1年に1回は、熟練した検査医に超音波(エコー)で膵臓を診てもらう
・ 疑わしい場合にはCT、MRI
・ 1年に1回は、アミラーゼとエステラーゼを測定する


前立腺がん

わが国でも増加傾向にありますが、大いに食生活の西洋化と関連していると思われます。

前立腺がんの特徴は、他の腫瘍に比べて腫瘍マーカー(PSA)の有用性が高いことが挙げられます。

また腫瘍の進行速度も比較的ゆっくりとしていますので、PSA検査が治癒に結びつく度合いが高いのも特長です。

・40才以上になれば1年に1回はPSA検査を受ける